映画「太陽の蓋」鑑賞会を経て
9月11日(日)この日は東日本大震災からちょうど5年半となりますが、偶然か必然か定かではありませんが、17回生の橘先輩が製作した映画「太陽の蓋」の鑑賞会が横川シネマにおいて行われました。鑑賞会の参加者は同伴者を含め総勢で8名と、小規模な映画館としては丁度いい感じの参加人数であったかと思います。
久しぶりにいい映画を観たという実感です。
東日本大震災から福島原発の事故を取り巻く様々な人物の行動を多面的に描いており、映画として不可欠なサスペンス調のシーンも行き過ぎたCGを用いることなく、効果的に取り込みながら、多数の登場人物の心情を巧みに映像化していて、まさにスクリーンに引き込まれてしまう映像となっています。
また興味深い点はどの報道番組、記事を見るよりも、この映画を観ることでこのたびの原発の事故がどれだけの影響を及ぼすものであるかを、主役の報道記者が地図を用いながら、追っていくことで、ストーリーに沿って自然に理解できるように構成されていることです。かつ重要な情報は必ずしも関係者(当然住民にも)にタイムリーには伝えることができないという問題点、そしてその原発といま私たちは共存しているという現実を暗示的なメッセージとして効果的に映像化しています。
この映画を観た直後、私たちの住む広島近辺の原発はどうなのかということが気になり、インターネットで調べてみました。ご承知のように着々と再稼働が始まっています。熊本地震の影響が誘発としてこれからどうなっていくのか気になるところです。映画を振り返り、目に見えないもの、よくわからないことへの恐怖を改めて実感します。
この映画はすでに過去となった災害、事故を映像化しているものではないと思います。私たちの生活、リスク管理の現在、近い将来を考えるために貴重なメッセージとなっています。
(31回生 竹本辰三)